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北海道の食および食文化の発展に寄与した
個人または団体を顕彰する事業
「小田豊四郎賞」。

任期1年の選考委員の厳選なる審査によって
候補の中から、小田豊四郎賞が選ばれます。




第15回贈呈式が
平成30年5月27日、帯広にて行われました。


今年度の受賞者は、
北見市でエゾ鹿肉の加工販売をされている
porowacca(ポロワッカ)代表の林徹様に決定いたしました。




 第15回 小田豊四郎賞受賞 
ポロワッカ
林徹様
   
 
【poro wacca】
090-0052
 
北見市北進町1丁目11-10

Tel:0157-57-4884 
Fax:
0157-57-4918

                         https://www.facebook.com/porowacca/


 

はじめまして。只今ご紹介に預りましたポロワッカの林でございます。この度は、このような名誉ある賞に選んでいただきまして感謝の気持と喜びでいっぱいでございます。皆さまのおかげと感謝いたします。

 先程大岡様がお話しを頂いたことと重複する部分もあると思いますが、エゾ鹿肉について少しお話しをさせて頂こうと思います。適切に仕留めて、適切に処理したエゾ鹿肉というのは、臭みやクセはないと思います。それを更に熟成することにより肉の酵素であるタンパク質がアミノ酸に変わり、水分を飛ばすことで肉がより濃く柔らかく美味しい状態になります。

 ただ、大岡様が仰ったように、北海道でエゾ鹿は害獣として扱われておりまして、年間十数万頭が駆除対象になっています。それを獲らないと、やはり農業林業被害が拡大して行ってしまい森自体がダメになるし、エゾ鹿自体が生活出来なくなりますので、北海道で年間十数万頭を駆除しているというのが現状です。獲った状態でも40数億円の農業林業被害が掛っていると同時に交通事故の被害ですとか、獲ってゴミにして捨てる場合でも、私の住む北見市ですと1頭当たり1万円弱掛けて廃棄しています。地方の経済として考えても、地域によっては過疎化の進んでいる地域ですと更に経済を圧迫する現状があります。

 その分、美味しく頂く事で消費需要が増えれば、廃棄されていたエゾ鹿達も感謝され命を繋ぐサイクルが出来上がります。そのサイクルが機能する様になれば、廃棄する為に地方自治体が支払っていた、廃棄料金を支払う必要もなくなります。

 エゾ鹿肉は栄養面でも優れていまして、カロリーは牛肉の3/1、脂質は10/1、鉄分はかなり多く含まれていますので、誰にとっても健康に適したお肉だと言うことで是非食べて健康になって頂いて、地方にも貢献できると言う、エゾ鹿肉を美味しく食べていただければ有難く思います。

 今回私のこのような取り組みを取り上げていただきまして、素晴らしい賞を賜りまして誠に感謝しております。これからもこの名誉を励みにより一層努力と研鑽を積んで参りますので今後とも宜しくお願いいたします。本日は本当に有難うございました。


選考委員 大岡玲様

大岡 玲/おおおか・あきら

作家・東京経済大学教授

1958年、詩人・大岡信の長男として東京に生まれる

大学時代から小説を書き始める。「黄昏のストーム・シーディング」で三島由紀夫賞を受賞。「表層生活」で芥川賞を受賞。

 

私が北海道に足しげく通うようになりましたのは、フライフィッシングを習い覚え、釣りのために訪れた20年ほど前からのことです。北海道は釣りにとって素晴らしい環境であるのですが、同じように素晴らしい食材にも満ちています。すでに有名なものには、ホタテとか鮭とか様々なものがありますが、中にはまだまだ知られていない美味があります。また、とても旨いのにどちらかと言うと敬遠されるような食材もあります。その典型的なものがエゾ鹿肉だと思います。ご存知のように、エゾ鹿は害獣の扱いをされており駆除の対象です。年間で40億円近い被害が出て、更に十数万頭の鹿を駆除するのにもお金が掛る。駆除された中で食肉利用されるのは17%ぐらいだとのことです。廃棄処分するにもお金がかかる。美味しい肉なのに、その真価が伝わらず結局廃棄されてしまっていると言う非常に悲しい現実があります。

 林さんの会社『ポロワッカ』のコンセプトが、「熟成肉」とうかがった時、そもそも家畜肉の熟成でも管理等々の点で難しいのに、野生のエゾ鹿肉でそんなハードルの高いことが出来るのか‥と思いました。ですが、取り寄せて見ると、非常にきめ細やかで味も香りも穏やかですが、エゾ鹿本来の香りが上品に漂っていて非常に美味しく素晴らしいお肉でした。この時にいただいたお肉は20日間ほど熟成させた肉だったのですが、そこから林さんの進歩の速さがもの凄くて、今は90日間熟成まで出来るようになっています。塊肉に塩だけで焼いても、少しだけ胡椒を振るだけで、何も要らない。素晴らしい香りと味が堪能できます。

 今回、小田豊四郎賞の選考ということで取材に参りまして、あらためて素晴らしいと思いました。そして感動しました。何かと言うと、林さんのポリシーがまず素晴らしい。廃棄されてしまうような害獣扱いのエゾ鹿肉を、地球が生んでくれた美味しい生命の塊であるとちゃんと知らしめたいという信念でやっておられる。そのポリシーは勿論、味も素晴らしい。素晴らしさは食べて頂かなければ判らないので是非食べていただきたいと思います。

もう一つは衛生管理です。これはジビエの場合本当に難しく、特に鳥の場合ですと散弾で撃ったりすると、内臓に破片が入って、それが広がったりする。心ある料理店の方ですと、ジビエに関しては撃った鳥は出さないというところもあります。鹿の場合では撃った場所から放血の具合が悪かったりすると、お肉として先程申し上げたように、臭さや硬さというマイナスイメージになってしまう。そういうことを林さんは全部クリアする為、ハンターの方に首から上しか撃たないこと。更に、すぐに血抜きをして、死後硬直する前、撃って2時間以内に工場に搬入すること。その後、内臓の処理を1時間以内にするなど、もの凄くスピーディーな形でやって、肉全体が非常に綺麗に保たれている。元々、看護師をされていたので衛生管理の素晴らしい技術をお持ちです。そういう意味でも、「綺麗で、美味しくて、社会の為になる」。これはまさしく小田豊四郎賞に相応しいつくり手の方だと確信しました。それで今回推挙させていただいた次第です。

 

  



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